練習内容について
- 網 渦男
- 2016年5月14日
- 読了時間: 3分
前項で練習は『量より質だ』と申し上げました。
私は師匠に
『練習内容にマイナス要素があれば練習はすればするほど下手になる、 マイナスが確実に加算されるからだ』
と教わりました。確かにその通りです。
中学生や高校生の部活のように毎日何時間も練習していれば、
量がモノをいっていつの日か、ある程度合理的な正しい奏法や結果に
たどり着ける『かも』知れません。
が、しかし、それで悪い癖が付いてしまう事も多々あります。
しかも残念なことに一度付いてしまった癖は、
なかなか修正に時間がかかります。結果遠回りになります。
ですからがむしゃらに練習するよりも
『プラスしか積み重ねない』
『プラスしか経験させない』
ことが大事です。
よく
『100回やって100回目にやっとできました!』
なんて聞きますが、 それは『99回間違った事を経験させただけ』です。
確実に出来るテンポ、間違えようがないくらいのゆっくりなテンポで、
やりやすい音量でやる事や、
間違いを犯しにくい条件で正しく練習する事が大事です。
例えば『テンポ120で指が速くまわらない』なら、
確実にできる『テンポ60からやってみる』事が大事です。
間違えない体験(成功体験)のみを体に、筋肉に経験させましょう。
人間は経験した事を再現するようにできています。
しかもなんとなくさらっとやるのではなく、1音1音を ①目で見て②耳で聞いて③指先の感覚も確認して④頭の中で歌いながらやる。 のです。言い換えれば頭と指で歌いながらやるのです。
コレはジャズにおいては
『音の言語化』(①と②)と
『楽器の肉体化』(③と④)と言う意味で非常に重要です。
そのうち正しく出来るようになって、余裕が出てきたら少しずつテンポを速くします。
『なんとか速く出来る』はダメです。
『必死にならないと出来ない』と言う経験はさせないでください。
飽きるくらい『余裕』でできる経験のみ。
そしたら今度は1音1音でなく『フレーズを塊』で捕らえます。
その塊を『アタマの中でイメージする』だけで指が正しく動くようになることです。
1音1音の指令ではなく、まるで4文字熟語をイメージしたら全角スラスラ書けるように。 『魑魅魍魎』とか練習しないと絶対書けないですよね(笑)。
それから例えば、
『フラジオやオーヴァートーンの練習の際に噛んで吹いてしまう』
人の場合にどうしてもその音を出したいという気持ちから、
噛んでも音が出れば練習して出来た気になってしまうことがあります。
そもそもフラジオやオーヴァートーンが出せるということは、
『その為の舌の位置、形や喉の開きを変化させ、
息の速度と角度をコントロールすること体得すること』ですから、 噛んでしまうと一時的にフェイシングやティップオープニングを狭くして
息の速度や角度を変えてしまうので体得ではありませんよね?
つまり、体で理解すべき事を避けて別の方法でやってしまうことになるのです。 結果、いつまで経っても舌や喉のコントロールが身につかないのです。
そればかりか舌と喉に無頓着になる癖が付き、プレイのマインドとしてもマイナスになります。 これらはちょっとした例ですがこのような練習の落とし穴はたくさんあるのです。
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