top of page

効果的、合理的であること

ヤミクモに練習していてもそれに費やした時間だけの効果が得られない事もあります。 つまり、練習内容にマイナス要素がある場合です。

マイナスをいくら積み重ねても上達とは違う方向へ言ってしまうだけです。

所謂、『悪い癖』がついてしまうという状況です。

私が教えているア・ミューズで実際に会った事ですが、 ある会員さんが入会しました。 その方は某大手音楽教室で音大出身の講師に何年もレッスンを受けておりました。 ある日その会員さんは私に『フラジオが出したい』と仰った。その会員さんが教わっていた 音大出身の講師の方はフラジオが上手く出せなかったということでした。

その講師はフラジオは出せてもその会員さんがイメージする

・・・・・・サンボーンやブレッカーの『プギョーーーー!』という

ギターのチョーキングのような『アレ』とはかけ離れた

繊細でお上品な『ぴろ~~~。』というフラジオであったようです。

で、その会員さんは不運にもその講師に

『通常より少しアムブシュアを噛み気味にすると出ますよ』

と教わったらしいのです。

ジャズ系プレイヤーからすると信じられない話です。

しかしその会員さんはそんな事は知る由も無く、

その音大出身の講師を信じ、ひたすら噛みまくってフラジオを出そうと練習を積み重ねてきました。

挙句の果てに

『下唇と歯の隙間に紙を挟んで吹くと痛くないですよ』

と余計な事まで教わり(某有名クラシック奏者がそうやって吹いているのを私は見た事があるが)、

がっちり噛み癖がついてしまっていたのでした。

リードにはその音域により振動を司る部位が違います。

リードを噛んでしまうと全体の振動を抑えてしまうばかりか

フラジオに必要な倍音の成分をカットしてしまいます。

確かに高音域は息のエネルギーをスピードに変換して吹かなければ反応しません。 つまり軌道を狭くして(ホースの先を摘むように)息のスピードを上げるのですが、

マウスピースを噛む事でティップオープニングを無理やり狭めて

スピードをあげる癖がついてしまうのです。

これでは倍音をカットし、ヒステリックな音になってしまいます。

そういう音を出したいなら構わないのですが、

これは本来のオーバートーンの延長としてのフラジオの出し方とは違ってしまうのです。

あくまで、金管楽器のように口内に於いて舌の位置を上げる事で

舌と口蓋(バッフル)の間を狭めて、息のスピードを上げるべきです。

リードの振動は止めるべきではないと思います。

では噛み癖を直すにはどうしたらいいか? それには『なぜ噛んでしまうか?』を考えなければならない。

―なぜ噛むか?―、『噛まないようにしよう』と心がけるだけで治るなら

前述の某有名クラシック奏者も紙など挟まないで済むでしょう。(笑)

噛みたくなるからではない。もっとア・プリオリな問題です。

そう。『歯』があるから『噛む』のです。

だったら歯を無くせばいい。

いや、抜歯しろという事ではないですよ(笑)。

歯を使わなければいいのです。つまりアムブシュアを作る時に上の歯をマウスピースには付けずに『浮かせて』唇の筋肉のみで咥えて吹いてみる。(※ダブルリップとは違う)

そうすると口内の空気の密度と舌の形が正しくないと音は出ません。

噛む事で自分の好きなところまでティップオープニングを狭めるという奏法で吹いていた人は

この奏法だと音が出ないかもしれません。

しかし、噛む事で意識していなかった口内気圧や

容積によるシラブルの設定などを身につけることが出来るのです。

このようにマイナスの要素(この場合は噛む可能性)を一切排除して

『効果的』『合理的』に練習は行なうべきだと思うのです。

特集記事
後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page